2010年11月アーカイブ

2010年11月29日

田舎暮らしへ向けた留意点 ~その2~

 

第二弾は、田舎暮らしを支援している地方自治体や

NPO活動を展開している担当者の方々からの

アンケート回答をもとに

田舎暮らしを成功に導くための秘訣・留意点を

整理してみました。

 

【向老期の田舎暮らし検討者への助言、移住前の留意点】

資金面の確保及び事前検討段階における候補地域の生活に

関する詳細調査と相性の見極めを重要視する傾向がみられました。

 

・移住後の生活資金(ライフマネー)について事前に検討しておく。

・検討段階で訪問滞在型農園(クラインガルテン)、生活体験施設等を

利用して何度も当地を訪れ、地域の情報収集や自分と当地域の相性を

見極めることが大切だ。

・体験居住や農家民宿等への訪問滞在をとおして、

田舎の現実を知ったり、相談役・仲介役になってもらえる人を探し、

巡り合うとよい。

・移住の目的をしっかり持ち、実際に足を運んで、

移住先の実情を把握・理解したうえで、

自己判断・責任で移住するのが望ましい。

・健康でなければ田舎暮らしは困難である。

・田舎暮らしは、自分でやらなければならない作業も多いので、

向老期の方は体力が衰えないうちに始めるのが賢明だ。

特に就農する場合は体力勝負である。

・はじめから不動産(土地・建物)取得せず、

まずは借家で暮らし始めるのがよい

・不動産を選びに終始することなく、地域で暮らすという視点を持って

地域をきちんと理解することが重要である。

・公営住宅は入居条件があり、空き家(売家)や中古借家も僅少なため、

地域によって住居確保に苦労する。

・田舎で高齢者向けの仕事は少ないので、移住後も収入が必要な人は

収入源の確保対策を十分に検討しておく必要がある。

・都会の物質的な豊かさを選ぶのか、田舎の精神的な豊かさを選ぶのか、

究極はこの二者択一ではないか。

・不便さの中に豊かさを感じられるようでなければ

田舎暮らしは成立しない。

 

 

2010年11月22日

田舎暮らしへ向けた留意点 ~その1~

 

第一弾は、田舎暮らしに精通した専門家の著書より

田舎暮らしを成功に導くための秘訣・留意点を

整理してみました。

 

 

【田舎暮らしの移行に向けた留意点】

・資金を含めて移住の条件が整わない都会人は田舎へ行くな。

・地元の人でさえ食えない農業を甘く見るな。

・田舎へ行ったら「郷に入れば郷に従え」の原則は守れ。

・移住した以上はそこで骨を埋めるくらいの覚悟を持て。

・田舎暮らしの夢は当初描いたようには絶対ならない。

必ずどこかで裏切られる。

・裏切られて新しい世界を発見し、

それを楽しみにするくらいの心の余裕がほしい。

・田舎へ飛び込むにはそれなりの準備や心構えは必要だが、

考えすぎるのもよくない。

・自分の都合だけを優先させても失敗しやすい。

・定年後に田舎へ移住するライフスタイルは一番無理がない反面、

一番失敗もしやすい。

・田舎で暮らす人にとって一番大切なのは、日常の挨拶である。

・二地域居住は不経済になりやすいライフスタイルであるため、

二地域居住なら都会と田舎のいいとこ取りができるという発想

は無理がある。

・シニア世代にとって、田舎暮らしは夫婦のあり方を見直す

試金石である。

パートナーとの合意には時間をかける。

・シニア世代の田舎暮らしは、体力が衰えないうちに始めるのが賢明だ。

・自然を相手に生きていくには、

失敗してもくよくよしない心構えが必要だ。

・自分から求めなければ、人と人のふれあいが生まれないのは、

都会も田舎も同じ。

・田舎暮らしを実践するには確固たる目的があってしかるべきだ。

・老いていく一方の後半生を田舎で過ごすには、

自立の精神と孤独感に打ち勝つ心構えが必要だ。

・田舎暮らしで求められることは、自分のことは自分の力でやる

という心組みと体力である。

・高齢期に移住する人は、老後のことも考えておいたほうがよい。

・全体としての和を乱さないように強調し、

常に円満な解決を心がけることが肝要である。

・定年期の人は蓄積してきた人脈やスキルを活かして

田舎で何かに挑戦し始めることは有効である。

・農地さえあればすぐに収穫できる、という

農業に対する認識は誤解である。

・都会でリストラにあっても田舎に行けば何とかなるという考えは甘い。

・田舎で自給自足すればお金がなくても暮らせる

というのは幼稚な発想である。

 

2010年11月15日

田舎暮らし希望者への助言 【実践者編】

 

各種情報媒体に掲載されている実践者の体験談から、

50歳~60歳代の田舎暮らし実践者からみた

後輩たちへのアドバイスを調査しました。(出典同)

 

 

概要:これから田舎暮らしを始められる人への助言

田舎暮らしに大切な要点は、

体力、

地域との交わり、

移住の目標と具体的な生活イメージの確立

前向き思考

 

 

具体的なコメントを以下に示します。

 

【これから田舎暮らしへ移行する人への助言】

・地域の活動や行事等に積極的に参加することも

大切なことである。

・自分の生活プラン(ライフサイクル、

何を楽しんでいきたいか等)を考えておくとよい。

・夫婦二人で別荘に通うのもやがて飽きる場合がある。

自分たちにとって本当に必要かどうか

田舎暮らしの目標をしっかり考えた方がいい。

・マイナス思考だと田舎暮らしはできません。

・先延ばしはだめである。できるときにやらないと、

できなくなってしまうから。

夢はあきなめないという気持ちが大事である。

・いざ住むと決めたら、「いかに楽しむか」を考え、

工夫することが大切である。

・「心の田舎人」が田舎に向いている。

・商売や勤めが一段落したら、街場のこせこせした所に

いて家で悶々としているよりも、

田舎で自分の好き勝手にのびのびと過ごす方がいい。

・体が丈夫なことも大事である。

・近所との会話も必要だ。

・ありのままの自分を出せれば田舎社会は

受け入れてくれます。

・住むと決めたなら、自分で開拓して、

人と関わっていかないとだめである。

・移住に際しては、気楽に構えて臨んだ方が

いいのではないか。

肩の力を抜いて、こだわりを持ちすぎないようにする。

・田舎暮らしは体力のあるうちに、思いたったら早めに計画し、

行動すると新しい生活もたくさん楽しめる。

・自分が何をしたいのか、何を楽しみたいかをよく考え、

目的をもって移住する。

・地域の人たちとのふれあいを大切にする。

・田舎へ移住したら何をしたいか、ただ漠然とではなく、

できるだけ具体的に考えておいた方がいい。

・田舎暮らしをはじめたら、地域のことは

地域の人から学ぶことである。

・あまり心配をし、考えすぎてもよくない。

行けば何とかなるものである。

・病院への送迎や買い物には、車がかかせない。

・ある程度「こうしたい」という希望があれば、

自ら動いているうちになんとかなる。

・地域に土足で上がりこむのではなく、結いに参加するなど、

自分たちの方から溶け込む努力が必要である。

・田舎暮らしを実現するのであれば、気になった場所を

実際に訪れてみることが大事である。

 

2010年11月 8日

田舎暮らし実践後の実感・変化

 

先駆者に学べという発想のもと、

各種情報媒体に掲載されている実践者の体験談から、

50歳~60歳代の田舎暮らし実践者の実践後の感想や

暮らし・価値観の変化を調査しました。

 

概要を整理すると、

 

   満足した田舎暮らしを継続している人の共通した特徴

検討過程で主体的に行動した

長年にわたり田舎暮らしに憧れ続けてきた

地元住民との交流や近所づきあいに努めた

 

   実践後の感想

当初考えていた暮らしとは違う展開になった

自然と親しみ自分のリズムで生活することにより

心身ともに健康になった人が多い

 

 

具体的なコメントを以下に示します。

 

【田舎暮らし実践後の実感、変化】

・気持ちにゆとりが出て、身体が健康になってきた。

・当初予定の生活像とは違う生活展開になった。

・田舎は意外と健康で文化的な生活ができる場所である。

・空き家の別荘が立ち並ぶのをみると有効利用の

ネットワークを形成できないかなと思う。

・田舎暮らしの楽しさは、お金を使わない楽しさである。

・冬の寒さも覚悟して来ているから

きついと思ったことはない。

・田舎暮らしを始めると、自然に土と親しみたくなる。

四季の中で行う作業はメリハリがあり、

同じ忙しさでも都会の仕事とは違い、

疲れにも爽快感がある。

・農的生活は自分で選択して主体的に

リズムをつくれるからいい(夫)、

田舎では都会とは別の脳を使っている気がする(妻)。

・野菜づくりは子育てのように楽しい。

・自然から癒しとエネルギーをもらい、

心穏やかに暮らせる日々に感謝している。

・朝、田園風景を眺め散歩すると昔の人間に

戻ったような感覚になる。

人間本来のリズムに戻った感じがする。

・最初は暇をもてあまし、慣れるまでに1年かかった。

・もっと不便だろうと考えていたが、

買い物など生活に関しては不自由していない。

・移住先での人間関係がどうなるかが唯一の心配だったが、

杞憂だった。

地元の人の指導で菜園の土から作物の芽が出た

のを見つけた時は感動した。

・妻はよく働くようになった。

・田舎にいては粗末な医療しか受けられない

というのは誤解だと実感した。

・夫は畑仕事で体重が5kg減量し、

健康診断では数値が良好になった。

ご飯もおいしく、熟睡できるようになった。

・地区の作業に参加していく中でだんだんと

「地域の人間」になっていくのだと実感している。

・田舎暮らしは、体力、気力、そして脳力です。

自然の中で心と体を鍛えられる田舎は、

健康維持のためには都会よりも良い環境だ。

・スローライフが忙しいのが誤算だった。

・体を使って楽しみながら光熱費や食費を

抑えることができる。

・田舎での生活は独りでは成り立たない。

誰かの手助け、犠牲があって私たちの豊かさが

あることを改めて気づかせてくれた。

・景観は何百年もかけて創られたもの。

時間の流れの中におかれている自覚を持ち、

その土地の地霊に敬意を払うことは大切だ。

・地震などの自然災害に備え、都会のほかに

もう一つ拠点を持っておくと安心だ。

 

 

出典:

岩手県「イーハトーヴぐらし―岩手移住指南―」20095月、P10-P11

山形県「すまいる山形」20093月、P5-P8

鹿児島県霧島市「IJU Magazine20083月、P6-P13

富山県「暮らしたい国、富山」20088月、P7-P10

㈱宝島社「田舎暮らしの本」200910月、P8-P3120107月、P8-P23、他

㈱ふるさとネット「ふるさとネットワーク」20071月~200912月、各月号 

 

2010年11月 1日

田舎暮らしの実状

何を始めるにも、まずは事実確認が大切ということで

田舎暮らしに関する実状をみていきましょう。

 

アンケート回答の概要は次の通りでした。

 

・田舎暮らし希望者は、都市生活者の4割程度と多い

 

・その大半は、憧れ層(実現に向けた具体的行動なし)

 具体的に検討し行動を起こしているのは数%に過ぎない

 

・実現にあたっては種々の制約があるために

実行を思いとどまっている人が多数を占める

 

・実際に田舎暮らしを実践し始める中心層は

向老期(60歳前後)世代が中心

定年退職後でないと諸条件がそろわない?

 

過去に都会から田舎へ移住後、再び都会に転居した

 「再転居者」の割合は、移住者全体の1~2割程度

 

・田舎暮らし支援者の8割以上が田舎暮らし適性

(向き・不向き)の存在を認識

 

 

田舎暮らしを希望していても、現実にその生活を

楽しめている人って意外と限られているんですね。

 

 

次に、田舎暮らしに精通した専門家のコメントによれば、

 

・生活費に不安がない人、

地域の行事に積極的に参加する人、

新しい事業を興して地域に活力を与えてくれる人

なら温かく迎えてくれる可能性が高い。

・地域に溶け込もうと努力する人には、

まわりの住民が何とか手を貸してくれる。

・田舎の地域社会は人間関係が濃く、

良くも悪しくも平等社会である。

・自然の中で静かに過ごすのも結構だが、

それだけでは飽きる。

・失敗しやすいのは、都会生活や現役スタイルからの

シフトチェンジができないため。

・田舎は車社会。通勤、通院、買い物、資材運び、

何をするにも自動車無しでは不便きわまりない。

・田舎は「お互い様」「自治」「相互扶助」という意識が強い。

・「自然が美しい」というのは「生活環境が厳しい」と同義である。

 

何と含蓄のある言葉でしょうか。

田舎暮らしをライフワークとしている私も思わず納得です。

 

 

このように整理してみると、

田舎で満足した暮らしができている人

(根っからの田舎人、例えば私)は十分幸せなのだと思います。

 

データ出所:

1.「全国の地方自治体及び田舎暮らし支援NPOへのアンケート調査」20107

2.「全国の5060歳代を対象としたライフスタイルアンケート調査」20107

3.田舎暮らしに精通した専門家が執筆した出版物

山本一典「失敗しない田舎暮らし入門」20044月、洋泉社

山本一典「お金がなくても田舎暮らしを成功させる100カ条」200910月、洋泉社

佐藤彰啓「田舎暮らし虎の巻」20033月、文化出版局

丸山健二「田舎暮らしに殺されない法」20085月、朝日新聞出版

玉村豊男「田舎暮らしができる人、できない人」20074月、集英社

 

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